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ああアシスタント(その3)

アシスタントなんて言うのは技術を覚えたら一刻も早く辞めた方がいいと言うようなことを

僕の中学の先輩である江川達也先生が言っていたけれど、言い得て妙だと思う。

あれはプロを目指す上で諸刃の剣である。



メリットはもちろん多い。なにせ編集の人と会う機会が増えるし、技術だって学べる。

でも僕がいた先生のところでもそうだけど、長くいればいるほど良くないようだ。

週間連載をこなすような先生にとって技術の高いアシスタントは1人2人必ず必要だし

そうなれば手放したくないのでチーフアシなどと呼ばれてある程度の収入を約束され

居心地が良くなってしまう。当然自分の作品を描く時間も削られ

背景ばっかりものすごく上手で人物がまるで描けないなんてことになる。

実際僕の周りもそんな人ばかりだった・・・



40歳をこえてまだアシをやっていて、先生がこけたらどうするんだろうと思うような人がいたり

まだデビューもしていなにのに他の作家さんの作品の悪口ばかり言っていたりと

正直見ていて自分の末路が怖くなるような人が多いのも事実なのだ。

そんな状態から一刻も早く抜け出したいと思っていた矢先、先に美少女漫画雑誌でデビューしていた島本かおる先生の

勧めもあって僕も今の業界に飛び込んだのだった。



ああアシスタント(その2)

紹介された翌日から早速アシに呼ばれた。当時の自宅から約1時間半の所に仕事場が

あって、‘こりゃ通うの大変だなー’と思っていたのだが、それは逆の意味で杞憂に終わった。 

帰れないのだ・・・



週六日勤務で朝九時から夜中三時まで。その強面の先生の顔色を伺いながら

ひたすらベタとトーン貼り。

朝は当然のように先に寝た先生が起きてくる前に起きてコーヒーを入れ

不機嫌な顔で起きてきた元ボクサーと言う先生の機嫌を損なわないよう元気に挨拶。

唯一の息抜きは弁当を買いに行くときくらい。

夜は二段ベッドが3つ押し込まれた部屋で僕以外のアシの人と助っ人さんが寝る。

共同生活に慣れてない僕はなかなか寝られず、先に寝た人たちのいびきで更に寝られず

朝方ウトウトし始め眠りについたなーと思った頃にはもう起きる時間と言う生活・・・

ぼくがアシに入ってから辞めるまで4人ほど新人アシが入ってきたけど、3人が途中で辞め

うち一人は朝起きるといなくなっていた・・・

肉体的にきついバイトは色々経験してるけれど、これほど精神的にキツイバイトは初めてだった。

まるで軍隊にいるような感じ。これで一ヶ月働いてちょうど10万円はいくらなんでも・・・



言っておくけれど、アシスタントの仕事がみんなこんなんだと言う訳じゃない。

普通は多少使えなくても一日7000円前後。飯付きというのが当たり前。

エロ業界の作家さんだってこの位は払う。

僕の友人がうちの先生と同じ少年C誌で人気のある漫画家さんの所でアシをやっていたけど

拘束は週2日(実質30時間ほど)で月20万以上、コミックが出たらボーナスとして10万近く、

さらに年2度ほど社員旅行という形で海外旅行にまで行っていると言う所もある。

(ちなみに今ではそこのベテランアシとして年収1000万近く貰っているそうである・・・)



つまりは行く所によって待遇がまったく違うのだ。

ああアシスタント(その1)

十数年前、僕は名古屋の三流芸大を卒業させられました。

単位をわざと一つ落として留年する気だったのに、春休みの朝早く、寝ているところへ大学から電話があり、単位やるから追試を受けて卒業しろとの事。

寝ぼけていたのでついわかりましたと返事をしてしまい、就職もきまってないのに卒業させられてしまったんです・・・(自業自得ですが)
僕は途方に暮れました・・・

そこに同科生で卒業後東京に漫画家のアシスタントをしに行った友人(島本かおる先生)から一緒にやらないかと声かけてもらい、勢いで上京。

すぐアシスタントできると思っていたのだけれど、そんなに甘いはずもなく、家賃29000円風呂なしのぼろアパートに住み、コンビニでアルバイトしながら漫画を描く日々。結局そんな生活が4年近く続きました。

で、このままではいけないと描いた原稿もって少年C誌へ持ち込み。

‘まあ絵はそこそこ描けてるから、アシスタントやって腕磨きなさい’
と言っていただき紹介された先生の所へ行くことに。

途中一緒に行ってくれた編集の人から‘修行だと思って’とか‘丁稚奉公のつもりで’
とか色々言われ少し不安になるも、初めて編集の人や漫画家さんに接する興奮と緊張で、なんでもやる気になっていた。

思えばあそこで冷静になっていれば・・・

紹介していただいた先生は正直よく知らなかった。古くからやってらっしゃるベテランで、絵は少し古めだけど、技術はしっかりしているので勉強にはなりそうだった。

しかし初対面の印象は・・・‘怖い!’だった。およそ漫画家として想像する風貌からかけ離れており、どちらかというと○○〇関係じゃないの?と言った感じの方。

そしてその印象はあながち間違っていないのでありました・・・



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